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メキシコ大統領選挙の見通しと経済路線

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メキシコ大統領選挙と経済路線 (2012年6月)

7月1日に実施されるメキシコ大統領選挙まで1カ月となった。

選挙情勢は、
中道左派とされる制度的革命党(PRI)のエンリケ・ベニャニエト元メキシコ州知事(45)が35%の支持を集め有利な状況に立ち、
与党である国民行動党(PAN)のホセフィナ・バスケスモタ元教育相(51)は、
時間の経過とともに支持率が低下(3月:24%⇒6月1日:20.1%)し、ほぼ絶望的な状況となった。

その中で、左派である革命民主党(PRD)のロペスオブラドル元メキシコ市長(56)が
3月時点の16%から24%まで支持率を上げ注目されている。

制度的革命党(PRI)のベニャニエト候補が、3月時点での40%以上の支持率から後退を続けているのと対照的な動きとなっており、逆転もあるのでは?という見方さえ出てきた。

メキシコの自由化路線が転換する?

現在2位につけるロペスオブラドル候補の支持率上昇の世論調査が報道されるたび「通貨ペソが軟調になる」と言われている。

それは、制度的革命党(PRI)も国民行動党(PAN)も、経済路線においてはFTA拡大などのこれまで進めてきた自由主義を継続することではほとんど差がないのに対し、
革命民主党(PRD)はFTAの見直しに言及し、開放経済路線からの転換を示唆しているからだ。

3億の人口を抱える世界最大の経済大国・市場である米国とのFTAがメキシコの発展を支えてきた。
(対米輸出は、メキシコの輸出額の8割を占める)

メキシコの自動車の輸出額は、世界9位であり、米国、カナダ、ブラジルなどに輸出し、経済を支えている。

その一方で、自由化路線は、貧富の格差を広げ、社会に亀裂が生まれつつある。

革命民主党(PRD)を支持基盤は、首都圏の貧困層と学生だが
現時点では中間層にも支持のが広がりつつある。

では、残り1ヶ月で革命民主党(PRD)がさらに支持を伸ばし、政権を取る可能性はあるのだろうか?

結論から言えば、「可能性はほとんどない」。

メキシコの人口中央値は26歳と極めて若く、
これが低賃金の若年労働力供給を今後20年余り続けられる。

しかも米国という世界最大の市場が隣国であるという世界でも極めて有利な基盤を有している。

「社会のひずみの是正」と「有利な経済基盤による発展」を天秤にかけたとき
「豊かになるための選択」としてメキシコ国民は後者を選択する、
というのが、現時点での政治情勢だ。

(2012年6月1日)




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