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タイ、コメ輸出が減少 ~財政のリスク拡大

(2013年6月12日)

タイのコメ輸出、世界首位から陥落

タイ2012年のコメ輸出は、前年比35%減少し、
米輸出量世界1位の座から陥落した。

要因は、

  • タイ・バーツが対ドルレートで19年ぶりの高値を記録した(バーツ高)こと。
  • タイ政府が、市場より5割前後高値で米を買い上げる制度を始めたこと。

つまり、バーツ高によってタイ米の国際相場が高値水準となっていることに加えて
米の政府買い上げで輸出に廻す量が減っていることが原因。

タイ米の輸出価格(長粒種1級)は、1トン619ドル。

政府による高値買い上げが始まった2011年10月から「1割高い」水準だ。

タイ政府は中国やアフリカ諸国とコメの政府間取引の交渉を行っているが
価格交渉などで折り合いがつかず、交渉の進捗は思わしくない模様。

2013年のコメ輸出量は
「前年並みの700万トン前後になる」(商業相)見通しで
輸出量の回復のめどは立たない状況だ。

タイの財政リスク懸念が広がる

コメ輸出急減の要因となっている「コメ担保融資制度」は
インラック首相が経済政策の目玉として導入したものだ。

同制度は、農民が収穫したコメと政府が発行した証券を交換し、
「品質に係らず」「一律市場より5割前後高い値段」で買い取る制度。

インラック首相は「農民支援の観点から今後も必要」と強調するが
買い取ったコメの放出がうまくできずに、政府は大量のコメ在庫をかかえている。

これがコメ輸出の減少だけでない問題を生じさせている。

タイの財政リスクの拡大だ。

米格付け会社ムーディーズは、
政府の抱えるコメ在庫の評価損が2600億バーツ(約8500億円)に上ると試算し、
バーツ建て・外貨建て国債の格付けを引き下げる可能性があると警告している。

「コメ担保融資制度」(コメ買取制度)は
タイの「コメ輸出の減少」と「財政問題」をもたらしているのである。

(2013年6月12日)


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