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ギリシャ政府系銀行の苦境と金融危機

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ギリシャ政府系銀行の苦境 (2012年5月)

ギリシャ政府出資2銀行、資本不足1兆円

ギリシャ政府系2銀行資本不足額は、約1兆円(100億ユーロ)に達している。

この2行とは、
ポストバンク(郵便局で預金を集める)とギリシャ農業銀行であり、
政府出資が3割以上の残っている。

ポストバンクは「自己資本回復に30億ユーロが必要」(シガノス副会長)という状態であり、
ギリシャ農業銀行は60~80億ユーロ資本不足と推定されている。

現在の金融状況では自力増資も、ギリシャ政府による税金投入も困難であり、
立て直しには国際的な枠組みによる支援が不可欠。

ギリシャの金融機関は、ギリシャ国債を大量に抱えており
ギリシャの実質的国家破たんに伴う3月の国債元本削減で巨額の損失を計上している。

民間金融機関に対しては、EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)の追加支援により、
480億ユーロの銀行資本増強枠を使うことができる。

ただし、政府系金融機関については想定外であり、
EU・IMFの新たな同意が必要となる。

ギリシャ国民はすでに金融機関からの預金引き出しに動いており、
資本不足状態から金融機関の融資能力が低下、
健全な企業でも融資を受けられない事態に入りつつある。

ギリシャの財政破綻、国債を抱え込んだ金融機関の資本不足。

預金流出と貸しはがし。

ギリシャの実体経済はさらに下振れする状況が生まれており、
問題は拡大しつつある。

6月17日に行われる再選挙で緊縮財政策反対派が政権を握れば
EU・IMFの支援そのものが困難となるだけでなく、
ギリシャのユーロ離脱、対外債務不履行、欧州全体の金融危機に発展する局面に向かう。

ただし、連立政権となり国際支援が実施されたとしても
危機の構造が変わるわけではなく、時間が繰り延べられるだけだ。

(2012年5月26日)



ギリシャ再選挙とは?

ギリシャでは5月6日に総選挙が実施されたが
これまでの2大政党が惨敗し、連立協議も不調に終わった。

ギリシャ憲法の規定では、「過半数の議席を持つ政権」が樹立できない場合は
再選挙を実施し、国民の信を問いなおすことが定められている。

このため、6月17日に実施される再選挙に世界の注目が集まってる。

ギリシャの選挙制度は各党の得票率に応じて議席が配分される比例代表制だが、
得票率が1位となった政党に「50議席」のボーナスが配分されるという独特の制度。(全議席は300)

これまでは、第1党の50議席ボーナスが政権安定をもたらしてきたが、
今回の選挙では緊縮財政政策に反対する「急進左派連合」の躍進が予想されており
急進左派連合がもし、第1党となった場合、「反緊縮」政権誕生⇒ユーロ離脱、
という流れが一気につくられる可能性があり、国際金融に与える影響の大きさから
今、世界が注目することとなっている。



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