財政悪化するウクライナ
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ウクライナの財政悪化 (2012年6月)
ウクライナの財政悪化懸念が強まっている。
現在開催されているサッカーヨーロッパ選手権。
世界が注目するこの大会に向けたスタジアム建設、交通インフラ整備などにより、
リーマンショック以降膨らみ続けた巨額債務がさらに悪化した。
ウクライナ政府が行った総投資額は70億ドル(約5600億円)。
ウクライナは、世界金融危機が直撃し、
2009年にGDPが前年比マイナス15%となり、
今年の財政赤字のGDP比率は6%を超える見通しとなっている。
こうした状況下で、これまで受けていたIMF支援は昨年から中断している。
IMFが求めるガスなどの公共料金値上げや歳出削減に対して
ヤヌコビッチ政権は抵抗し、IMF融資再開交渉が暗礁に乗り上げているためだ。
ウクライナは、年内に120億ドル(約1兆円)という巨額の債務返済が必要となる見通しだが
ティモシェンコ前首相の有罪判決などでドイツをはじめとする欧州各国と関係が悪化し、
(メルケル独首相はサッカー欧州選手権感染を拒否した)
財政悪化により、ウクライナの目指していたEU加盟、ユーロ参加の道は閉ざされた。
窮地に陥ったウクライナは、ロシア依存を強めようとしている。
5月末、ロシア国営対外貿易銀行(VTB)との間で
10億ドルの融資借り換えで合意。
ただしこの回帰路線がウクライナ国民の未来にとって希望となる保証はどこにもない。
ティモシェンコ前首相の有罪判決
ユーリア・ティモシェンコは
2004年にウクライナで起こった「オレンジ革命」を主導した政治家として注目を集め
2010年に大統領選挙に出馬するも、ヤヌコビッチ現大統領に敗北。
そして2011年8月5日、ガス資源に関する汚職行為でウクライナ警察に逮捕された。
容疑はロシアからの天然ガス契約に絡んで職権を乱用したというもの。
10月に禁錮7年の実刑を言い渡された。
オレンジ革命を支持する欧米諸国からは「国策捜査」などの非難の声が上がったが
裁判の過程で、横領をはじめとする様々な証拠が裏付けられたとされている。
(2012年6月25日)
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